〜JIS Q 15001:2023の考え方に基づく運用ガイド〜

目次
- 委託先管理がPマークで重視される理由
- JIS Q 15001:2023に見る委託先管理の要件
- 委託先選定時に確認すべき評価基準
- 委託後の監督・定期評価の実施方法
- 実務で活用できる委託先管理の仕組み
- まとめ
1.委託先管理がPマークで重視される理由
企業が個人情報の処理や運用を外部に委託することは珍しくありません。
しかし、委託先で発生した情報漏えい事故であっても、責任は委託元企業に及ぶ場合があります。
こうした背景から、Pマーク(プライバシーマーク)では、委託先の選定・契約・監督を体系的に管理することが求められています。
JIS Q 15001:2023では、これを**「個人情報保護マネジメントシステム(PMS)」の中核要素**として明記しています。
2.JIS Q 15001:2023に見る委託先管理の要件
JIS Q 15001:2023の「7.4.2 委託先の管理」では、以下の3つのステップが示されています。
- 委託先を選定する際に、個人情報保護の体制を確認・評価すること
- 個人情報の取り扱いに関する契約を締結すること
- 業務開始後も必要に応じて監督・評価を行うこと
つまり、Pマークを運用する企業は、委託先を選ぶ段階から監督まで一貫した管理体制を構築することが不可欠です。
3.委託先選定時に確認すべき評価基準
委託先を選定する際には、単にコストや納期で判断するのではなく、個人情報保護体制の成熟度を客観的に確認する必要があります。
以下は、選定時に確認すべき代表的な評価項目です。
| 区分 | チェック項目 | 確認方法 | 
|---|---|---|
| 管理体制 | 個人情報保護責任者の有無、社内規程の整備 | 組織図・社内文書の提示 | 
| セキュリティ対策 | アクセス制御、入退室管理、データ暗号化 | 運用資料・画面確認 | 
| 教育 | 従業員への教育頻度・内容 | 教材・実施記録の確認 | 
| 認証取得 | Pマーク・ISO27001などの有無 | 登録証明書の確認 | 
| 契約遵守 | 秘密保持契約(NDA)・再委託の有無 | 契約書確認 | 
| 実績 | 同様の業務経験・対応事例 | 実績リストの提示 | 
これらを基に**「委託先選定チェックシート」**を作成し、スコアリング形式で評価しておくと、再現性と説明性の高い運用が可能になります。
4.委託後の監督・定期評価の実施方法
委託契約を締結した後も、継続的なモニタリングと再評価が求められます。
JIS Q 15001:2023では「必要に応じた監督」が明記されており、形式的な契約だけでは不十分です。
主な監督・評価の手法
| 監督方法 | 内容 | 実施頻度 | 
|---|---|---|
| アンケート調査 | セキュリティ体制や教育状況の自己申告を取得 | 年1回程度 | 
| 書面審査 | 契約書や規程の更新内容を確認 | 契約更新時 | 
| 現地訪問・監査 | 実際の運用現場を確認 | 高リスク委託先 | 
| 再評価 | 業務変更やインシデント発生時に再チェック | 随時 | 
結果は「委託先評価記録」として文書化し、改善提案や契約見直しの根拠に活用します。
5.実務で活用できる委託先管理の仕組み
実際にPマークを運用するうえでは、委託先に関する情報を一元管理できる仕組みを整備すると効率的です。
具体的には以下のような記録が有効です。
- 委託先一覧(契約日・更新日・評価日・担当者を明記)
- 委託契約書と個人情報保護条項の控え
- 委託先選定チェックリスト
- 定期評価結果と改善指導履歴
また、業務の重要度に応じて「監督頻度」を変えることも有効です。
たとえば、個人情報を直接扱う委託先は年1回の監査、間接的な委託先は2年に1回など、リスクベースの管理が推奨されます。
6.まとめ
Pマーク運用における委託先管理は、単なる契約管理ではなく、組織全体の個人情報保護体制を守るためのリスクマネジメント活動です。
- 選定基準を明確にして、体制・教育・実績を可視化する
- 契約書には個人情報保護条項を盛り込む
- 定期的な監督と記録の保存で継続的改善を行う
これらを確実に実施することで、JIS Q 15001:2023の要求事項を満たし、
結果として信頼性の高いPマーク運用体制を構築することができます。
ISO・Pマークの認証・運用は GCconsulting合同会社にお任せください

GCconsultingは、数多くの企業様のISO・Pマーク取得・運用を支援し、
実態に即したコンサルティングで高い認証率を誇ります。
経験豊富な審査員資格保持コンサルタントが、認証・運用更新にかかる作業時間を約90%削減し、
お客様が本業に専念できる体制づくりをサポートいたします。
💪GCconsultingの3つの強み
① コストパフォーマンスに優れたフルサポート
初期準備から審査当日まで、追加費用なしでフルサポート。
現地審査の立ち会いも標準対応のため、安心してお任せいただけます。
コストを抑えつつ、高品質な支援を受けられるのが当社の特徴です。
② プロ審査員によるコンサルティング支援
GCconsultingでは、ISO審査員資格を持つプロのみが対応。
画一的な支援ではなく、お客様の実態に合わせて柔軟にサポートします。
専任担当が最後まで伴走し、認証対応にかかる社内負担を最小限に抑えます。
③ 情報セキュリティ知識の高さ
単なる認証取得支援にとどまらず、実務レベルのセキュリティ対策までアドバイス。
形式的ではない「実効性のある運用」を重視し、
審査指摘リスクの最小化とスムーズな審査進行を実現します。
「認証を取りたいけれど、何から始めればいいか分からない」――
そんな方も、まずはお気軽にご相談ください。
合わせて読みたい記事!
 
 
